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「惑星アトン外伝」


▲夢いっぱいディスクシステム。国税庁ファミコンゲーム「惑星アトン外伝」

 今をさること十数年前の1990年。日本経済はその果てしなき増長に終わりを迎えようとしていた……。しかし、アニメ業界は衰退を向かえながらも、「パトレイバー」などメディアミックス作品を世に送り出す。
 国税庁制作のファミコンゲーム「惑星アトン外伝」もそんな世相に流されるまま、ゲーム化されてしまった悪しき一本である。今回は、そんなゲーム界に埋もれた黒歴史をひもとき、バブル経済の功罪に光を当てていきたいと思う。


★概要
 「惑星アトン外伝」は任天堂ファミリーコンピュータ、ディスクシステム用ゲームである。媒体はディスクシステム用のフロッピーディスク。ラベルには「惑星アトン外伝 国税庁」とある。ゲーム本体はソフトハウスに発注されたものと思われるが、その開発元と費用は不明。開発にあたり、任天堂に多額のライセンス料が支払われたことは想像に難しくない。
 「惑星アトン外伝」という名前の由来は文部省選定アニメ「惑星アトン」のキャラクターを使用しているため。外伝なので、登場人物が同じ以外、ストーリー的に繋がりは全くない。
 1990年の11月頃、「税を知る週間」に「税金展」というイベントが開催され、このゲームは会場でのみ遊ぶことができた(*参考「増刊ファミコン通信Vol.1」)。本作は非売品で流通市場に一切出回っていない幻のゲーム。悪徳中古ゲーム屋で数十万円の値がつきそうである。



★ストーリー
 平和な星「惑星アトン」は「キングクイザー」の襲撃を受け、財源(税金)を奪われてしまう。ゲームの主人公であるカン太とユーリーはキングクイザーを倒すことによって、税金を取り戻すのだ。



★ゲームシステム
 スタート画面で「ひとりであそぶ」を選択すると、1人プレイ、「ふたりであそぶ」を選択すると、2人同時プレイとなる。
 プレイヤーが操る自機(宇宙船)は1Pが「カンタ号」、2Pが「ユーリー号」なっている。
 ゲームのプレイ時間は8分。
 ゲーム内容は最初、「スターソルジャー」のパクリと言わんばかりのオーソドックスなシューティング・ゲームだが、唐突にクイズ・ゲームに変化する。シューティングとクイズは一定間隔で交互に繰り返される。


★シューティング・パート
 編隊を組んで攻撃を仕掛けてくる敵機を打ち落とす。Aボタンの押しぱなしで弾は連射可能。ボスキャラは存在しない。
 敵機の得点は300〜2000点まで。同タイミング・同型の敵を撃っても、得点が違うため、例えば敵を横一列に破壊してもポイントが「300点」「2000点」「500点」となる。このバラツキはランダムだろうか?
 自機が敵弾、または敵機に接触するとミスとなり、ポイントが100点減点される。このゲームではなんと自機が死ぬことはない。敵から攻撃を食らっても、ツイン・ビームがシングル・ビームに弱体化するだけである。



(強力な助っ人)
 画面後方からプレイヤーの強力な味方が3種類登場する。登場のタイミングは、「バリア」「敵全滅」「救急車」の順番で1機ずつ出現する。


▲「バリア」そもそも自機が無敵なので、あまりご利益はない。


▲「敵全滅」同上。


▲「救急車」同上。ボロボロになった自機もこれに触れると瞬時に復活。救急車は敵と接触すると、やすやすとそれを粉砕してしまう。救急車は自機以上に強い。



▲敵キャラクター(全14種類。名前は不明)

★クイズ・パート
 クイズ・パートでは、三択のクイズが出題される。総問題数は全部で11。回答は3機の敵を1機だけ撃墜することで行う。問題は本来、税金についてのクイズが出題されるはずなのだが、たまに関係ないものが出題される。クイズに正解すると2000点が加算される。正解時と不正解時にはユーリーの顔のグラフィックが変化する。


▲正解


▲不正解


★終了画面
 ゲームは一定時間(約8分間)のプレイで終了する。最後にゲームは、給料明細とおぼしき会計画面へと突入し、今までの得たポイントが税金に置き換えられる。そして、表示される金額の単位は「兆円」。全編にヘボさがにじみ出ているこのゲームだが、この「兆円」によってグッと宇宙的スケールに格上げされる。惑星アトンの通過単位が「円」なのはちょっと解せないが、敵からこんな国家予算級のカネを搾取しているとは驚き。なお、この税金は、惑星アトンを救う原動力である。
 ポイントは7段階で評価され、その評価によってメッセージが変化する。



ランク7 ポイント100000点以上
「調査中」

ランク6 70000〜99999点
「みじかなところにも、ぜいきんはつかわれているんだね」

ランク4 50000〜69999点
「これで、びょうきや けがをしてもあんしんだ!」

ランク3 30000〜49999点
「調査中」

ランク2 10000〜29999点
「調査中」

ランク1 0〜9999点
「調査中」


評価によって税金の使われ方も変化する。これによると、道路・下水が、教育よりも重要で、さらに防衛費が医療よりも重要であることがわかる。しかし「道路・下水=7兆円」の根拠は未だもって不明だ。


ランク〜1
「どうろや、げすいなどのひよう 7兆円」

ランク〜2
「きょういくやかがくなどのひよう 5兆円」

ランク〜3
「くにをまもるためのひよう 4兆円」

ランク〜4
「いりょうやねんきんなどのひよう 12兆円」

ランク〜5
「くにのかりいれきんなどをかえすひよう 14兆円」

ランク〜6
「けいさつやしょうぼうしょなど、ちほうのひよう 15兆円」

ランク〜7
「調査中 x兆円」


そして、トドメはこのメッセージだ。
「〜このしゃかい あなたのぜいが いきている〜」


★総評
 シューティング部分は敵機が少なく、緊張感に欠け、ひたすら冗長。クイズ部分は子供をバカにしているのではないかと思うほど簡単である。このように、ゲームバランス的にクソゲーという評価もいたしかたないだろう。しかし、システム面には実験的で妙な味わいがあり、バカゲーと呼ぶことも可能だ。
 家庭用ゲーム機の爆発的普及を果たした昨今、国税庁ゲームが再び降臨することを願って止まない。

 なお、秩父原人につぐ歴史的発見となった「惑星アトン外伝」の発掘は、多くのご助力により成り立っている。地層の変化に適確な能書きを述べてくれた糸居重里氏、東京旧都庁舎のゴミ捨て場を案内してくれた境屋太一氏には大変感謝している。この場を借りてお礼を申し上げたい。



★特別付録「惑星アトン外伝」問題集(*マークが正解)

◆つぎのうち、かんせつぜいは?
そうぞくぜい
ほうじんぜい
しょうひぜい*

◆つぎのうち、ちょくせつぜいは?
しょとくぜい*
たばこぜい
おさけぜい

◆おとのつたわるはやさを、なんとよぶか?
シャトル
メートル
マッハ*

◆つぎのうち、やさいはどれ?
リンゴ
トマト*
バナナ

◆ひかりは、1びょうかんに、ちきゅうをなんしゅうする?
やく1しゅう
やく7しゅうはん*
やく50しゅう

◆きゅうなびょうにんがでたときに、よぶのはどれ?
しょうぼうしゃ
パトカー
きゅうきゅうしゃ*

◆がいこくから、ものをかうことをなんというか?
ゆしゅつ
ゆにゅう*
えんじょ

◆すいがいをふせぐためのこうじを、なんというか?
ちすい*
げすい
じょうすい

◆ぜいきんをおさめるところはどこか?
けいさつしょ
ほけんじょ
ぜいむしょ*

◆さかなをとることをなんというか?
のうぎょう
ぎょぎょう*
りんぎょう

◆しょうひぜいは、なん%かかる?
3%*
5%
9%